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【169】オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る(読書感想文49)

オードリー・タン

デジタルとAIの未来を語る

オードリー・タン

ブレジデント社

1800円(税別)

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オードリー・タン(唐凰)氏は台湾のデジタル担当の政務委員です。

 

台湾のコロナ対応は、ロックダウンする事なく、学校の休業、飲食店の休業要請もなく、コロナを封じ込める事に成功しています。

 

35歳という史上最年少で内閣に入閣したオードリー・タン氏。

 

シビックハッカーを巻き込んだマスクマップ等、ITを活用しながら新しい時代の政治を行っており、世界中から注目を浴びています。

 

 本書は世界初の自署だそうです。

 

コロナ禍のなか、およそ3ヵ月、のべ20時間にわたる取材(オンラインで結びディスかカッション形式)をもとに、オードリー・タン氏の言葉を日本語に翻訳してまとめる、という形で出版されました。

 

複数の取材、インタビュー、イベントでいつも同じような質問が繰り返され、少々困惑する事もあった最中、日本の出版社から「書籍を出しませんか」という提案があり、自分自身の考えをまとめる良い機会になるととらえ、本書を出版する事に決めたそうです。

 

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以前ブログでも紹介しましたが、J-WAVEのイノフェスでオードリー・タン氏が登場しました。

 

想像していた方とは全く異なる、ユーモアのある温和な話し方、IT音痴の自分でも良く分かる話、聡明で柔軟な考え方で、素晴らしい時間を過ごす事が出来ました。

 

本屋さんで本書を見つけ、成人の日の本日、一気に読みました。

 

オードリー・タン氏の話を日本語に訳したという事で、J-WAVEのイノフェス(こちらは英語で字幕がついていました)のように、オードリー・タン氏の柔らかでかつ明確で分かりやすい言葉が綴られてあり、とても読みやすい本でした。

 

manana55.hatenablog.com

 

オードリー・タン氏の話は、適格な言葉づかいで、結論までの道筋がすうっと頭に入ってきます。

例も具体的で分かりやすく、時々発せられるユーモアは非常にその場を和ませますし、話の内容が記憶に残るので、凄い!と思っていました。

本書からユーモアも大事だと意識されて発言されているのだという事も分かりました。

 

どのような育ち方をしたら、こんなに柔軟で公平な考えを持つようになるのだろう?と思っていました。

本書では生い立ちや日本との関わり等が語られており、オードリー・タン氏の一面を理解する事が出来る一冊になっています。

 

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本書から印象に残った言葉をいくつかご紹介します。

付箋をつけていったのですが、付箋だらけになってしまいました。

全部紹介すると大量になるので、一部抜粋します。

 

“私がいつも言っていることですが高齢者でも社会に貢献できることは非常にたくさんあるのです(中略)重要なのは「どうすれば、各世代が一緒に政策を作っていくことができるか」を考えることです。政府はその上でまとまった意見を吸い上げればいいわけです。”

 

“「少数の人だけが便利に使っていて、大多数の人は学ぶことできない」という手法では意味がありません。デジタル技術は「誰もが使うことができる」ということが重要なのです。それが社会のイノベーションにつながります。”

 

“自分の精神が健全で安定していれば、自然とスマートで礼儀正しい人間になれる。そういう余裕のある社会を台湾は目指しています。そのためにデジタルを積極的に有効活用していこうとしているのです”

 

“私の仕事は非常に明確で、様々な異なる立場の人たちに対して、共通の価値を見つけるお手伝いをすることです。”

 

“私は人と人とを区別する「境界線」は存在しないと考えています。”

 

“誰か少数のためを思って設計したものが、想定していなかった人たちを助けることがあるのです。「自分には関係ない」と思っていても(中略)いつもは多数派の側に所属していても、時には少数派に属する場合もあります。(中略)「交差性」は(中略)ゼロサムのように「一つ増えれば一つ減る」というものではなく、「誰も置き去りにしない」という概念で、すなわちそれが「インクルージョン」という考え方です”

(順番前後します)

インクルージョンとは「包括」という意味ですが、大多数の人たちがよければよいとするのではなく、理想としてはすべての人の利益になることを目指す考え方です”

 

“「AIを導入すれば人間の職業が消える」ということはありえないのです。ある仕事のうち「重要性が高い部分については、AIや機械に任せる」というスタイルに変わるだけです”

 

“デジタルの時代になればなるほど、文学的要素は欠かせず、重要性を増すのです”

 

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「余裕のある社会」という言葉がとても印象に残りました。

 

オードリー・タン氏の登場から、台湾が「特定の人たちだけの特権」に縛られず、「市民が自由に発言する事が出来る」風通しのよい社会になっているということが分かります。

 

「余裕のある社会」を実現するために人の垣根をつくらず様々な意見を素直に聞くという姿勢がとても大事だと思いました。

 

デジタル化が進んでいるからこそ、「特定の人たちだけの特権」に縛られない、透明性のある意見集約が実現可能になっているともいえます。

 

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「余裕がある」という事は本当に重要だと思います。

 

仕事の話で恐縮ですが、コロナ禍の中で仕事をしていて、気持ちの「余裕がある」という事がとても大事であると改めて感じています。

 

時間や人の制限があり、焦りが生じ、心の余裕がなくなるとミスが起きます。

ミスが重なると周囲との関係も悪化していきます。

 

コロナにより様々なストレス、制限、負荷がかかり、心の余裕がなくなる事が多くなりました。

 

前回の緊急事態宣言の際、在宅勤務・交代勤務で職場に負荷がかかりました。

当然、不満・不具合があちらこちらで生じます。

意見を集約しながら、ストレスや制限を外していき、限られたなかで人を巻き込んであれこれと工夫をしながら「余裕がある」「前向きである」「未来を見て仕事をする」という環境を皆で一緒に整えていきました。

すると仕事くがうまく進みむようになり、チーム全体にも良い影響が出、成果につながいうことを体感しました。

同僚としみじみ「余裕を持つことって大事だよね」と話をしています。

 

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自分自身、余裕のある気持ちを保つためには、「余裕のある」生活をする事が大事だと感じています。

 

金銭的な余裕を持つという意味ではなく、日々の生活を整える事が、心の余裕につながると思います。

 

そういう意味では、このコロナは自分の生活を見直すひとつのきっかけとなりました。

 

良く眠る、という事も大事ですね。

 

丁寧な暮らしをするということを心がけようと思います。

 

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前向きな気持ちになる一冊でした。

 

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皆さまの明日も良い一日になりますように!!