沖縄文化論-忘れられた日本
686円(税別)
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沖縄の本土復帰は1972年の5月15日。
本日、本土復帰から49年経ちます。
インターネットのニュースで知りました。
今回沖縄に関する本をご紹介するのは本当に偶然です。
こういう偶然もあるのですね・・・。
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幼い頃テレビで見た「藝術は爆発だ!!」の岡本太郎氏のイメージが強く、ヤバイおじさんだと思っていた印象が本書でガラリと変りました。
幼心に目がギラギラしたおじさん、と感じていました(幼いので話の内容は理解出来ない)。
ヤバイおじさんではなく、純粋で、面白く、柔軟な考えをする事が出来る方でした。
感性豊かで知的な方だったのだと、目から鱗が落ちました。
そうですよね・・・。
そうでなければ、国を代表する作品製作を依頼しないですよね・・・。
太陽の塔なども保存しないですよね・・・。
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ある日東京で沖縄の踊りを見て衝撃を受けた岡本太郎さん。
“人間生命の、ぎりぎりの美しさ”
沖縄の踊りにすっかり惚れ込んでしまいます。
1959年11月16日から12月3日にかけて沖縄を訪れました。
沖縄の友人に招待され、美味しい泡盛をいただき、あれこれ楽しみながらの沖縄旅行・・という気楽な気持ちで旅立ちます。
当時の沖縄は米軍占領下です。
パスポートの必要はありませんが、それに代る身分証明書が必要で、渡航には制限がありました。
現在のように気軽に沖縄に行く事が出来なかった時代です。
約束の時間から2時間遅れる、頼まないと物事が進まない等、大らかな“沖縄テンポ”の洗礼を受け早々にノックアウトした岡本太郎さん。
しかし、柔軟に気持ちを切り替えます。
“「いちゃりば、ちょうでぇ(行き会ったものはみな兄弟)、ぬう、ひぇだれぬあが(何の隔てがあろうか)」”という沖縄の言葉があると紹介します。
沖縄の人達はその言葉の通り。
沖縄の人たちの良さに直ぐに気がつき、その姿に嬉しいと喜びを感じます。
沖縄テンポは悪意があるものではなく、沖縄の人達の大らかな人柄、気持ちの良さを褒め、セッカチな自身の姿が滑稽なのだと、理解を示します。
ホテルではアメリカ兵と女の子たちの夜の騒動にも“沖縄化“する適応力を発揮し、数日後には熟睡出来るようになります。
日中は太平洋戦争の激戦地跡を訪れたり、紅型や古典美術などを見学します。
民間人を巻き込んだ戦争、当時の軍人のプライドには強い嫌悪を持ち、見学した美術品には物足りなさを感じ、もっと凄いものがあるはず、と感じます。
次第にマラリア地帯や非常に重い人頭税、文字を使う事をゆるされなかった事など、沖縄の辛く悲しい歴史が見えてきます。
本質を見抜く岡本太郎さんは廃れつつある昔の文化に興味を持ちます。
口から口へ伝えられた、詩、唄、踊りなど、考察を交えながら記されています。
唄は極限られたものだけですが、詳細に記されています。
念願の踊りも間近で見る事ができ、多くのページを割いています。
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本文より抜粋
“私を最も感動させたものは、意外にも、まったく何の実体も持っていないーといって差支えない、御嶽だった。”
沖縄では神と交わる事が出来るのは女性だけでした。
「御嶽」は聖域であり、祈りの場であり、男子禁制の場です。
御嶽という、言葉が冒頭で登場したものの、なかなか登場しない~写真を見てもハジチ(入れ墨、女性の誇り)をしている方が出てこない~と思いながらページをめくったところで、久田島の“久高のろ”さんが登場しました。
“のろ(祝女)は女性の司祭、シャーマン“です。
“御嶽“、“「ハヅキ」という入れ墨“、と、頭に思い浮かんでいた事が次々と登場し、読みながら驚きました。
岡本太郎はこの御嶽の経験から様々な考察をします。
さらに、日本人の原点を感じ、現在の生活にも生き続けていると記しています。
水を使い身を清め、禊をする神事から、日本人のお風呂好きの話、そして西欧精神と必死になって結びつこうと焦っていてもどこか相容れない現在の考察はとても興味深かったです。
少し長くなりますが、引用します。
“自分で気づかないで、毎日ミソギをやっているのだ。
「あぁ、いい気分だ。生き返った」なんてまさに、再生の告白だ。
ここから日本人独特の前道徳的観念が生まれてくる。”
(中略)
“加害者がかくのごとくなれば、被害者も似たようなもの。ヒデエ目にあって、ええコンチクショウとくやしがっても、風呂にでも入ってしまえばケロリと恨みは洗い流される。まことに軽快な道徳感情である。”
“これにくらべると、西欧キリスト教国の人なんか、執念深い。罪の意識は生まれてから死ぬまでつきまとい・・・(中略)まったく異質な精神界である。”
“西欧精神と必死になって結びつこうと焦る日本の近代インテリ達は(中略)そうい
う生活的なギャップをそのままにして、上っ皮だけつぎはぎしたところで、空虚である。”
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苦笑しながら読み進めました。
多様性の理解が求められる現代。
お互いこういう背景があるので異なるのだ、と思うと、理解が深まると思います。
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養女であり、実質は妻である岡本敏子さん(妻ではなく養女となったのは、岡本太郎さんの結婚感だけでなく、子供がいないため、自身の遺産を兄弟に分散させないための相続対策という説があります)の後書きによると、
“沖縄に発つ前、『中央公論』の編集部が『せっかく行かれるのなら、沖縄の現状のルポを書いて下さい」と言って約束されていた。
しかし帰って来てみると、彼の書きたいものはとてもそんなものではなかった。”
とあります。
沖縄に行き、大きな刺激を受けた岡本太郎さんは、1年くらい書き続けるほど沖縄のレポに情熱を注いだそうです。
7年後には再び沖縄を訪れ、久高島のイザイホー(“牛の年に新しいナンチュ・神人を資格づける厳粛な儀式“・“神事“)を見学しています。
本土復帰についての記載も本書に掲載されています。
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岡本敏子さんの後書きも素晴らしいです。
岡本敏子さんは岡本太郎の良き理解者であり、岡本太郎の功績を世に広めた功労者です。
先日読んだ、武田百合子さんが思い浮かびました。
本屋さんには本書が平積みされていたのですが、手前に『犬が星見た ロシア旅行』が同じく平積みされていました。
本屋さんは改めて本好きなのだなぁ、と嬉しくなりました。
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続いて東京散歩のお話です。
今週は仕事で想定外の攻撃をくらいました。
近づく人たちに次々と見えない刃をふりまわすお方がいるのです。
モヤモヤが溜まるので、昨日はマイナスイオンが沢山ある山へ行こう!!と休暇を取りました。
早朝に行き、夜に帰ってくる予定でした。
しかし、深夜のプログのアップからも分かるように、夜更かししすぎました。
早朝に目覚めたものの、二度寝をしたため、山に行けなかった・・・という一日になりました。
マイナスイオンは浴びるぞっ!!ストレス発散させるぞ!!と言う事で東京散歩をしてきました。
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本書を片手に家を出発。
山へは向かわず、渋谷の「明日の神話」へ。
渋谷はずーっと再開発をしていますが、駅構内はかなり歩きます・・・。
便利になっているのかなぁ・・・。
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さて、どこへ行きましょう??
美術館はお休みですし・・・。
渋谷の金王八幡宮に行こうかな?と思ったのに(パワースポットだそうです)、ふらふらとお買い物へ・・・。
美術館的な要素のあるお店へ・・・
家と庭がすいていたので、本を読みながら一服しました。
家と庭は若いお嬢さん方が接客して下さいますが、ショップは先日ご紹介したとおり、勤務している方の年齢制限がありません。
人生の大先輩が応じて下さいます。
多少時間がかかっても大らかな気持ちで、優雅な時間を過ごしました。
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家を出るのが遅かったので、灯籠に火が灯っています。
18時まで開いています。
森の中で木と交信??している方を良く見かけたのですが、今回はいらっしゃらなかったです。
平日だったので学生さんたちも多かったです。
皆さんお洒落~。
こちらはシャツにジーンズです(笑)。
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暑い一日でした。
汗をかいたので、原宿で一服。
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お買い物をして美味しい物を食べて、マイナスイオンを浴びて、歩いて。
ストレス発散!!
邪気を発散!!
家に戻ってから岡本太郎さんの本を完読。
寺院の話では苦笑しつつ、お風呂の話で、なるほど!と納得。
お風呂で禊をし、綺麗サッパリ!!
まさに再生しました。
月曜日からはスッキリ出勤する事が出来そうです。
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皆さまの明日も良い一日になりますように!!