ムーミン9冊セット
限定スペシャルBOX
5560円(税別)
講談社文庫
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トロールは北欧、特にノルウェーの伝承に登場する妖精だそうです。
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作者はトーベ・ヤンソン(1914-2001)です。
フィンランドのヘルシンキ生まれですが、スウェーデン語系フィンランド人だったことからムーミンの物語はスウェーデン語で書かれました。
1冊目『小さなトロールと大きな洪水』からの抜粋です。
“1939年、戦争の冬のことです。(中略)風刺画をかくときサインがわりにつかっていた、怒った顔をした生きものを主人公としてムーミントロールという名をつけました”
戦時中に書かれた作品はどこか暗く、ムーミンも怒った顔をした生き物と言う事で、丸みも少なく、陽気なムーミン一家とは異なります。
戦後、生活が落ち着き、明るい、安定した生活が出来るようになるにつれてムーミンの姿は丸みを帯び、可愛い姿になっていきます。
お話も明るく楽しいものに変化していきます。
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ムーミンには何だか暗い印象を持っていましたが、背景を知り、なるほど・・・と思いました。
今回本を読んでみて、「!」と思う事が沢山ありました。
ムーミンだけでなく、主要キャラクターたちとの出会いも初めて知りました。
フィンランドを旅した際、ムーミンを好きなのは子どもと日本人、と言われましたが、お話を読むと子どもの本というよりも何だか深いお話です。
日本では大人から人気があるのもとても分かる気がします。
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「!」と思ったダントツの登場人物は、スノークのおじょうさん。
ノンノンだったりフローレンだったりする、あの女の子です。
フローレンはドイツ語でお嬢さんとい意味だそうです。
原語がどのような響きなのかとても気になりした。
アメリカで出版された英語版を翻訳している関係で、英語的な訳も多かったです。
因みにニョロニョロは原作では「Hattifnatt」ハッティフナット、だそうです。
Hatta(優柔不断で迷う)とfnatta(放浪する)を合わせた言葉のようです。
『たのしいムーミン一家』より
“一年に一度、ニョロニョロという小さいお化けたちが、世界じゅうを荒らしに出かける前に、このしまに集まるのです。”
「!」
ニョロニョロって害のないものではないの!?
世界中を荒らす?
お化け??
ニョロニョロはえたいが知れない不思議な生き物です。
ニョロニョロと訳した方、凄い!!
何だか良く分からない、暗い影を持ったお化けが、一気に陽気な生き物(??)に変わります。
言葉の響きって大事です。
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話が脱線しました。
スノークのおじょうさんのお話に戻ります。
髪の毛があるお嬢さん、子供心にもとても不思議で印象的だったのですが、こんなエピソードがありました。
じょ・・・女子・・・!!
まさにTHE女子!!
『ムーミン谷の彗星』より
“スノークのおじょうさんが、大きな石をつかんで、アンゴスツーラに投げつけました。ところが、投げかたがへたなため、ムーミントロールのおなかへ、ぶつけてしまったのです。
「あらっ、たいへん。わたし、あの人をころしてしまったわ」
と、おじょうさんは、悲鳴をあげました。
「女の子って、そんなものさ」
と、スニフはいいました。”
(゚Д゚)!!
おじょうさん・・・!!
・・・ご安心下さい。おなかに大きな石を投げられても、恋は盲目状態のムーミンは元気づいて大活躍しました。
(中略)
“ムーミントロールが、うわのそらでいいました。彼はスノークのおじょうさんの前髪を、じっと見ていました。ムーミンママには、前髪がありません。だから、前髪というものを、まだ見たことがなかったのです。”
・・・物語のなかでもお嬢さんの前髪が強調されているので、アニメでも強調されているのだなぁ・・・と思いました。
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『たのしいムーミン一家より』
“第4章 ニョロニョロが夜おそってくる。
おかげでスノークのお嬢さんが、髪の毛をなくす。“
(゚Д゚)!!
ええ!!??
ニョロニョロが夜おそってくる??
スノークのお嬢さんが、髪の毛をなくす??
『たのしいムーミン一家」本文より抜粋
“「やあい、おまえは、はげちゃったじゃないか」と、スニフがいいました。“
!!
はげ!!??
スノークのお嬢さんはそんな目にあっていたのですか!!
そしてその後のおじょうさん・・・
衝撃を受けた場面の挿絵を模写しました。
彼好みの綺麗な女性になりたいだなんて・・・女子!!
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この年になってやっと、ムーミンを見る目が変わりました。
またフィンランドに行きたいです。
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・・・雷鳴の音が聞こえています。
これから雷雨になるのでしょうか。
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皆さまの明日も良い一日になりますように!!