流しのしたの骨
630円(税別)
昨日のブログ。
『流しのしたの骨』は平成8年7月、マガジンハウスより刊行されました。
久しぶりに読みたくなり、実家にも本書があると言うのに、江國香織さんの最新刊(『シェニール織とか黄肉のメロンとか』とともにこの文庫本も購入しました。
☆☆☆☆☆
東京散歩は本作品で登場するお店やおやつのご紹介です。
1964年生まれ。
調布市周辺が舞台のようですので、作者の生活も反映している作品なのではないかな、と思います。
主人公が夜、家から歩いて祖師ヶ谷大蔵駅まで散歩にいく場面が登場します。
普段はバスを利用しているので、住まいは世田谷か調布なのではないかな、と思います。
江國香織さんの作品には具体的なブランドや商品名、場所がしばしば登場します。
作品の最後のほうに登場する新宿伊勢丹のケーキ屋さん(マナの樹)は閉店してしまっていましたが、現在も営業されているお店やおやつもたくさん登場しますのでいくつかご紹介します。
☆☆☆☆☆
舞台設定は1975年2月生まれの主人公のこと子が19歳~20歳の物語です。
西暦では1994年~95年、和暦では平成6年~7年です。
主人公のこと子は去年の春に高校を卒業して以来、バイトもせずに家族とともに優雅に暮らしています。
登場する大学生も余裕がある感じです。
主人公が誕生日を迎えお祝いでお祝いで子どものころに家族とたまに来たという、ホテルの最上階にある眺めのよいステーキ屋に主人公を連れて行ってくれます。
約30年前のお話と言う事になりますが、古さを感じません。
☆☆☆☆☆
見落としているかもしれませんが本文からざっと抜粋していきます。
“私はどうしても、律のことを小さな弟と呼んでしまう。弟、と、小さな、は律にくっついているのだ。小川軒のレーズンウィッチの、2枚のビスケットとバタークリームのように。”
御茶ノ水駅から徒歩4分ほどに店舗があります。
レストランもあります。
☆☆☆☆☆
つばさ公園は京浜島つばさ公園?
モノレールに乗って出かけていました。
☆☆☆☆☆
パチンコミツボシは祖師谷大蔵。
主人公は祖師谷大蔵に住んでいるのかな?と思ったのですが、その後登場するバスで三、四十分のところにある町が成城?なのか疑問・・・(電車では隣の駅です)。
本文より
“「駅でバスをおりるとき発見しちゃったの」”
“「停留所の立て札に、よく何々前って書いてあるでしょう?停留所名とは別にね。その下に小さく何々前ってついでみたいに」”
“「駅前のそれにはパチンコミツボシ前って書いてあったの」”
“「それをずっと読みまちがえていて、ハチミツコボシ前とばかり思っていたの。何年も、ずっと」”
後半にも登場します。
“夜、駅まで散歩にいく。パチンコミツバチで少し遊んだ。パチンコ屋にいくと、私はおばさんにばかり目がすいよされてしまう。なぜだか。予定の八百円をたちまち使い果たして、店のなかをぐるぐる歩き、観察に飽きると、入口の自動販売機であたたかいカルピスを買った。あたたかいカルピスは甘ったるい。”
“風が強い。首をすくめて歩いても、寒さは肌にしみとおった。厚いタイツをはいてくれば良かったと思った。パチンコ屋さんにいたおばさんたちは、みんな無事に自分のうちに帰りついただろうか。”
・・・写真撮影をした際にも偶然でしたがおばさんがお店に入っていくところでした。
女性客も多そうです。
祖師谷大蔵はかつてウルトラマンの生みの親、円谷プロダクションがあったことからウルトラマン発祥の地となっているそうです。
2004年、3つの商店街がウルトラマン商店街と名を変え、ウルトラマンのグッズを販売しているお店もあるそうです。
駅前にはウルトラマンの像がたっていたり、商店街のアーケードにはウルトラマンが飛んでいたり、ウルトラマンの街を盛り上げています。
小田急線祖師ヶ谷大蔵駅では「ウルトラマン」「ウルトラセブン」のメロディが流れます。
1994年、1995年の『流しのしたの骨』の舞台から10年後に「ウルトラマン」で街を盛り上げる取り組みがされたようです。
☆☆☆☆☆
ウエストのドライケーキ
“私は淡いクリーム色の缶をあけ、ウエストのドライケーキを三つばかり食べた。”
一つ210円(税別)。
銀座ウエスト。
喫茶室は珈琲のおかわりも出来、ゆっくり過ごす事が出来ます。
☆☆☆☆☆
“ハットリの時計(和光の丸時計を母はなぜだかそう呼んでいる)が九時をさしていた。”
銀座の写真は撮影していないので・・・WAKOの紙袋を掲載。
☆☆☆☆☆
さゝまの最中
“朝食のフィニッシュに、棚にあった『さゝま』の最中を二つ食べる。”
☆☆☆☆
本文より
“私たちはバスで、三、四十分のところにある町まで足をのばすことにした。大きなスーパーマーケットがあるのだ。”
“薬屋と皮膚科と「櫻子」はどれもスーパーマーケットから五分以内の場所にある。”
甘味処成城櫻子
昭和54年創業。
本文より抜粋
“「櫻子」は小さい店で、小さいビルの三階にある。そよちゃんとしま子ちゃんがそれぞれ薬屋と皮膚科にいっているあいだ、私と律は先に来ていた。”
注文したものは葛切りと蜜白玉、田舎じるこ、ところてん。
作中には登場しませんが・・・。
お食事も出来ます。
女将さん、とてもお元気!!
源氏物語語りなどの催しも行われています。
地元の方にも愛されているお店だと感じました。
男性も多かったです。
作中に登場するスーパーマーケットは成城石井でしょうか・・・。
皮膚科も薬屋も確かにすぐそばにあります。
☆☆☆☆☆
ピコーのミルクティ
“「ピコーのミルクティがいい」”
ピコーはサントリーから1993年に発売。2001年販売終了。
☆☆☆☆☆
山野楽器・・・と言う事で銀座ではないかな・・・と思うのですが、山野楽器で待ち合わせをした後フルーツパーラーに向かいます。
“深町直人とは、山野楽器で待ちあわせた。CD屋なら、どちらかが遅れても待つのが苦にならないから、と、律が言ったのだ。”
“フルーツパーラーはこんでいた。”
CD屋ということで調布の山野楽器かもしれません。
銀座というと資生堂パーラーを思い浮かべてしまうのですが、フルーツパーラーというと複数あります。
具体的なお店の名前は登場しないので・・・こちらに関しては具体的なお店は分からず、です。
注文したものはメロンパフェ、グレープゼリー、三色ババロワ。
☆☆☆☆☆
精養軒のマドレーヌ
“「和室に精養軒のマドレーヌがあるから、よかったら食べなさい」”
神田精養軒、2009年に自己破産をしていたのですね。知らなかった・・・。
親族が手土産に渡していた記憶があるのですが、そんなに時間がたっていましたか・・・。
どうやら復活販売されているようで池袋東武百貨店などで販売されているそうです。
レストランがあったはず・・・と思ったのですが、松坂屋にあるのは上野精養軒・・・。
新宿にある洋菓子が神田精養軒とのこと。
復活販売のマドレーヌは記憶していたものよりも可愛らしいパッケージでした。
(小ぶりのマドレーヌですが・・・。こちらも精養軒違いかな・・・)
☆☆☆☆☆
河道屋のそばぼうろ
“母は立ちあがり、私たちがお菓子箱と呼んでいる棚から河道屋のそばぼうろの缶をとりだすと、テーブルにじかにひろげた紙ナプキンの上に、ばらばらと中身をとりだした。”
“私も律もちょっと黙った。笑ってしまわないように、私はそばぼうろを二つつままなくてはならなかった。”
☆☆☆☆☆
“遊園地は街なかにあり、小ぢんまりとしてすいていた”
東京ドームシティアトラクションズではないかな・・・?と思います。
「後楽園ゆうえんち」
2003年に東京ドームアトラクションズに名称変更しました。
☆☆☆☆☆
“お菓子を焼く暇がなかったからと言って、マナの樹のケーキ包みを持っていた。途中で伊勢丹によって買ってきたのだそうだ。”
フランス菓子を扱う洋画菓子屋さんです。閉店。
☆☆☆☆☆
老舗のおやつがたくさん登場します。
姉のそよちゃんが焼く手作りのケーキや度々登場するミルクティーなども美味しそうです。
甘いものがたくさん。
主人公が甘い物好きとはいえ、まるでおやつの小説のよう。
☆☆☆☆☆
皆さまの明日も良い一日になりますように!!