モネのあしあと
幻灯舎文庫
500円(税別)
作家になる前はアートコンサルタント、キュレーターを務め、生活の中心にアートがあったという原田マハさん。
本領発揮です。
本書は小説ではなく、モネに関する解説集です。
“あなたが本書をもって、いつの日かアートのあしあとをたどってくれたら、もっとうれしい。”とはじめに記載されています。
写真も掲載されており、とても読みやすいです。
積み藁の連作の過程もとてもよく分かりました。
昨日ご紹介した展覧会の前に読んでおくと、モネ 連作の情景をさらに楽しむことが出来ると思います。
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巻末にはモネ作品を所蔵している施設のデータが掲載されています。
日本国内にも沢山のモネの作品があります。
日本人はなぜ印象派が好きなのか?
原田マハさんは“印象派の作品の中には、日本美術が生かされているので、私たちが見ても親しみを感じ、また安心感を覚えるのです。”と分析しています。
海外の美術館や日本の美術館で、西洋画と日本画が並べて飾られている場に何度か遭遇していますが、日本の絵はシンプルでカッコいい!と思いました。
デザイン的です。
日本美術に海外の画家が夢中になった、という点、分かります。
海外の美術館で中国館もあったと思いますが、日本館を興味津々で見学した思い出もあります。
中国には素晴らしい文化があったはずなのに、文化大革命などの影響でしょうか、もっと凄いものがあったはず、と展示が期待外れで、日本の展示がとても印象に残りました。
原田マハさんは
“浮世絵の不思議なところは、写真が登場する以前から、このズーム•イン、ズーム•アウト、そして大胆なカット•アウトを先取りしていたところです。これに十九世紀パリの画家たちは驚いたのです。”と解説されています。
•••偶然ですが(昨日のブログを書いてから本書を読みました)、昨日のブログに書いた通り、人間の目は自動的にズーム•イン、ズーム•アウトをしています(写真を撮って、あれ?スカイツリー、とても小さい!遠い!と感じたので)。
浮世絵師たちは自分で日頃見ている景色+日本お得意の漫画的な画力で、浮世絵を描いていたのではないかと思います。
漫画と言えば“《源氏物語絵巻》(平安時代末期)なども、登場人物の表情は抽象化されています。そもそも、あそこまでお多福、細目、おちょぼ口の顔は存在せず、かなりデフォルメしないとキャラクター化できないことから、「漫画の原点」とも呼ばれています。”と原田マハさんは記載されています。
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薄い書籍ですが満足の一冊です。
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オランジュリー美術館、東日本大震災直後に訪れたパリで、贅沢な時間を過ごしました。
いつの日かまた訪れたいです。
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皆さまの明日も良い一日になりますように!