脳から見るミュージアム
アートは人を耕す
中野信子 熊澤 弘
860円(税別)
本書の冒頭に書かれているのですが、中野信子さんは、2018年から東京藝術大学大学院国際藝術創造研究科(博士後期課程)でキュレーションについて学んでいるそうです。
入試制度概要を見てみたら、一般入試募集は3名だそうです。
何て狭き門!!
中野信子氏流石です・・・。
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美術館巡りが好きです。
コロナ禍以降、美術館に行ったのは1度だけです。
チケットが既に手元にあり、予約して出かけました。
予約制のため、いつもよりもゆっくり見る事が出来ました。
とても良い時間を過ごしましたが、以降行っていません。
東京の美術館は何故こんなに人がいるの・・・!!という状態です。
20時まで開館している日の夕方に行くようにしていました(すいています)。
予約制が広がるのは良いと思います。
美術館に行く事を控えているので、時折、ギャラリーに行って絵を眺める事はあります(店内では2,3人でした)。
美術館に行く事が出来ない反動か、我が家の玄関はすっかりギャラリーの様になっています(苦笑)。
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本の裏面の帯には“無数のコレクションがコロナ禍に疲れた脳に効く!”となっています。
美しい物、好きな物を見ると、気持ちが落ち着き、幸せな気分になります。
自分も物を溜めてしまう傾向があります。
物に囲まれる安心感、満足感もあると思います。
昨日、イギリスで、『隣人が遺したスターウォーズコレクションが5400万円以上の価値があった』というニュースを読みました。
他人から見ればガラクタかもしれません。
コレクターから見ればとても価値があるもの。
捨てられなくて良かったですね。
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本書は東京藝術大学大学美術館准教授の熊沢弘氏と中野信子氏の対談形式で進みます。
本書から印象に残ったものをいくつか抜粋します。
・“ロンドン大学のセミール・ゼキ教授は、芸術作品を観て「美しい」「これは自分にとって良いものだ」と感じると内側前頭前皮質の血流がアップすることを突き止めた”
“作品だけでなく、美しい顔を見た時にも同じように反応する。しかも、美人だけでなく、それほどでもないと思う面立ちの人が笑顔になったのを見ても、同じように反応したりするのが興味深いところだ”
“外形的な美醜だけでなく、そこに備わるそれ以上の意味を認知しているのだと推測される“
それほどでもないと思う面立ちって・・・(苦笑)。
笑顔に反応する、というのは良いですね。
笑顔になる事は心身ともに良いことなのですね。
脳にとってアートが必要だという、分かりやすい一例は
・“MoMA(ニューヨーク近代美術館)”の“VTSというプログラム”。
“たとえば、モネの『睡蓮』を”こどもたちに“見せて”“「あなたには何が見えますか」と訊ねます。“
“子どもの発想、意見を潰さないように、決して否定させずに聞いて、考えさせていくと、なんと子どもの理科の成績が上がり、言語能力も高くなることが明らかになったのです。”
アートを見て感じたこと、考えた事を発言する事により、脳が活性化するという事ですね。
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MoMAには素敵な絵が沢山提示されています。
閉館ギリギリまでいて、追い出された思い出があります(苦笑)。
警備の方が追いかけてくる(苦笑)
・・・友人はそんな事なく、悠々と鑑賞出来たということです。
何の違いだったんでしょう?友人は後から集合場所に到着しました。
海外の美術館では絵を前に子どもたちが座り込み、先生とやりとりをしている姿を見かけますが、日本でも大原美術館などや地方の小さな美術館でも見かけますので(座り込みまでしていませんが・・・)、広がっていくと良いですね。
美術館では静かにしなければならない、という暗黙のルールがなんとなくあるので、温かい目で見てもらえると良いなと思います。
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最後に本書でとても印象に残った一文をご紹介します。
“人間になぜ睡眠が必要かというと、簡単に言えば脳は使っていればとゴミが溜まって、そのゴミが神経細胞を痛めつけるので、必ず洗わないといけない““その洗う作業は寝ている間しかできないんです”
睡眠が大事だと思っていましたが、メチャメチャ必要なものではないですか!
よく寝よう・・・。
・・・これを読むと、目を覚まさなくなった状態の方は、脳の修正、掃除を一生懸命している状態だと言えるかもしれないですね。
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皆様の明日も良い一日になりますように!