厨房から台所へ
タサン志麻
1400円(税別)
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文章も写真も満載で満足する一冊です。
プロフェッショナル仕事流儀ではさらりと紹介されていた修業時代、コック時代の話もそのまま綴られています。
志麻さんはおそらく夢中になるとその他のものが目に入らなくなるのでしょう。
一人の女の子が大人の女性として自活していく過程が語られています。
不器用な志麻さんが、尖っていた角が徐々にとれていき、丸みを帯びていく過程が描かれ、“事実は小説より奇なり”というか小説や映画を観ている気分になる一冊でした。
“志麻さんの思い出レシピ31”もとても美味しそうです。
一番簡単なのは“プルーンのベーコン巻き”だなぁ・・・。
先日の料理教室で(その日に食べたいものをつくり、食べきってしまうので)「つくりおきはしないんです」というお話をされていました。
質問した方も「!!」。苦笑。
過酷なコック時代と比べれば、家庭でつくる日々の料理はたやすい事なのでしょう。
どんな世界でもプロの世界は厳しい、と感じる一冊でした。
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一流と二流は大きな壁があります。
簡単に思える事が実践となると難しく、その点がとても大きな差になっていたりします。
その大きな差を若い時に見ておく、というのは重要です。
プロの仕事を知る、一流の仕事を知る事がとても大事、とこの本を読んで感じました。
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昨日ラジオ(J-WAVE〔TRUME TIME AND TIDE〕を聞いていたのですが、栗原心平さん(@男子ごはん)がゲストでした。
“今のレシピはとても簡単なものか、本格的なものか2極化している”とお話されていました。
今の世の中、何でも“2極化”が進んでいるのですね。
家庭料理のレシピも2極化しているのかぁ・・・と思いました。
昨日の「シイタケのバター焼き」は素材ありき、簡単なレシピそのものです。
レストランだから本格的、家庭だから簡単というものではありません。
(以前某カフェの料理教室に通っていた事がありました。
業務用の素材を使い簡単にあっという間にお店の味の料理が出来上がり、感動しました)
簡単で美味しいレシピもありますし、手間暇をかけたからこそ美味しい料理もあります。
調理時間が短くとも、事前準備が大変だったりします。
丁寧に下処理をすると美味しい料理が出来上がります。
(都内でも増えましたが)京都の料理屋さんに行くと、オープンな調理場になっており、下準備をする姿が素晴らしく、食事が提供される間つい見てしまいます。
お昼の遅い時間に行くと夜の準備をしている事も多いです。
白い作業姿もきりりとして、こうやって美味しい物が出来上がるのだなぁ・・・と手元を眺めてしまいます。
毎日美味しいと感じる食事をする事が出来る、
そういう時間が幸せなのだと思います。
“料理は愛情!”という言葉が出てきますが、お店も家庭料理も愛情料理である事は変わらないと思います。
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この本を読んでいて目にとまったエピソードが、ある食品会社の研究室のアルバイトとうまみの話です。
ソースやたれをつくる仕事ですが、値段を安くするために様々な工夫がされています。
うまみ調味料を必ず入れていたそうで、うまみ調味料が悪いわけではないですが、うまみは料理の課程で出てくるそうです。
ちょっとした調理の工夫で料理がぐっと美味しくなるそうです。
ドレッシングをささっとつくられる方を思い出しました。
混ぜるだけだから簡単!という事でしたが、つい市販の物を買い求めてしまいます。
最近美味しいオリーブオイルが手に入り、使い切れるか心配していたところでしたので、ドレッシングも自家製にしようと思いました。
本書ではないですが、美味しいオリーブオイルと塩があれば、充分美味しいと何度か目にしていますので、挑戦します。
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今週のラジオからは“戦場のメリークリスマス”が良く流れています。
良い曲~。
映画の内容はうろ覚え・・・ちゃんと観ていない様な気がします。
今見たら印象がガラリと変わりそうです。
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皆様の明日も良い一日になりますように!!