図説
英国王室の食卓史
スーザン・クルーム
矢沢聖子 訳
3800円(税別)
帯にあるようにリチャード2世からエリザベス2世まで、歴代英国王の食卓を通して食文化の変遷が分かります。
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食にこだわりがない(=料理が美味しくない)イギリス(失礼!)なのに、極上料理?絢爛豪華な正餐?
???を頭に思い浮かべながら本書を手に取りました。
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2021年12月24日NHKに放送された「チコちゃんに叱られる」。
Q:なぜクリスマスにチキンを食べる?
A:どんちゃん騒ぎでハメを外すのを戒めるため
ここで紹介されたのが1214年イギリスのジョン王が暮らす宮廷での食事の食材。
ワイン6500L、豚400頭、ニシン1万5000匹、ウナギ1万匹・・・。
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本書はその後のリチャード2世(在位1377~9年)から始まるのですが、ものすごい量の料理に目から鱗の状態でした。
英国は素から島国だったわけではなく、さまざまな経緯を辿り、島国になったもの。
宮廷料理はフランスの影響も大きく、孔雀とか鶴とか、そういうものも食べていたの!?という食材も多いです。
料理の数もものすごい量です。
時代を経て大皿料理ではなく一皿ずつ出されるコース料理になりますが、一口食べたら、次、というようにしないと食べきれない量です。
ヨーロッパに行くと広大な土地に豪華絢爛な建物、階級社会とはこういうものか・・・とスケールの大きさに驚いたのですが、食事においても大きな格差があったのだと本書を読んで知りました。
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余談になりますが、フランスのパリで暮らす、元アナウンサーの中村江里子さんがものすご~く長~いテーブルに(テーブルをつなげているわけですが)沢山の人々が集まる屋外の食事会を紹介されていました。
その時は不思議な催し・・・と思ったのですが、西洋では伝統的な食事会のようです。
貴族も一般人もこのような催しがあるようで、ジョージ4世の戴冠式の祝宴には現物人も含め沢山の人々が集まっている絵が残されています。
1897年のアレクサンドラ王女在位60周年記念にあたって催されたロンドンの「援助に値する貧しい人々」の為の食時会の写真には、長いテーブルが何列も並び(写真で見える範囲では(8×3列くらい?)、マイルエンドの労働会館前のテーブルに数千人が集まっている様子が見えます。
・・・イギリスの印象が変わりました。
美味しいものはスコーンと紅茶(ってイギリスで栽培されたものではないですけれども)と思っていたのですが、きちんと美味しい料理も作られていたようです(あぁ、失礼・・・)。
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チコちゃんに叱られるに戻るのですが、
どんちゃん騒ぎを嫌うプロテスタントが増えるにつれ、食用の「七面鳥、鶴、白鳥」のどれかをクリスマス料理で使うようにとなりました。
七面鳥が美味しく、食べる部分も多かったので、七面鳥が広まり、日本では戦後にアメリカから七面鳥を食べる習慣が伝わってきました。
しかし、日本では七面鳥を食べる習慣がなく、パサパサしていて日本人の口にあわなかったこともあり、鳥がたべられるようになります。
1970年代にケンタッキー・フライドチキンがクリスマスにチ食べるキャンペーンをしたことで全国に広まりました。
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旅行では食には拘らず(外食費高いですし)、嬉々としてスーパーマーケット巡りをしてしまいますが、手間暇をかけた美味しい料理がイギリスにもありそうです。
イギリスにも行きたくなりました!!
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皆さまの明日も良い一日になりますように!!